【カガマキ】二人と彼らの街

エピローグ

「終わっちゃうんですね、極楽満月『現世店』」
「どうだった、桃タローくん、現世と桃源郷の二重生活は」
「大変だった思い出しかないですよ、あっちとこっちじゃあ時間の流れが違いすぎるし!桃源郷で1日開けてたら、こっちじゃ何週間も経ってるし」
「でもこっちの時間で10年、けっこう持ったほうじゃない?」
「もう二度とやらねえ!」
「いやー、しかしびっくりだったなあ。マキちゃんに似た人いるなあ、仲良くなりたいなあって思ったら、まさかアイツまでいるなんて!しかもヤクザ!似合いすぎて笑っちゃうよ。しかもわざわざ偽名名乗っておいてさ、組の名前が鬼灯組、って!自分大好きかよ! しかも理由聞いたら『実の両親が唯一くれたものだからです』だってさ、やっぱりアイツおかしい」
「へえ、加々知さんって本名鬼灯だったんですか。……て言うかマキさんに親族のフリして近づいた理由ってそれ!? 聞きたくなかったなあ」
「10年も保護者やってたらさすがに情が湧いちゃって無理だねー。マキちゃんが僕の元から離れるのは感慨深いけど、アイツに取られたのが癪に障る。あとでアイツに仕返ししよう」
「地獄の鬼灯さんは関係ないですよね……。と、よし。こっちの荷造り終わりました」
好的オッケー、じゃあ帰ろうか、僕らの世界に」
 漢方薬局≪極楽満月≫はここにあった。